ロト宣⚔🛡のメビウスFF:小説
第1部ー第1章ー空白の運命
1.めざめ
どこからか 声が語りかけてきた
姿は見えない 語る声に耳を傾ける
これは夢なのか 現実なのか
目の前が急に眩しくなる。
あまりの眩しさに意識を取り戻す。
うつ伏せの息苦しさから、仰向けになる。
その視線の先には、座り込んで地面を見つめたままの白骨化した骸が見える。
異様な空気を感じ取り、すぐに身体を起こす。何か情報を集められないかと座った姿勢のまま、辺りを見回す。
どうやら、薄暗い川岸にいて、自分以外にも人が数人いる様だ。
左手に自分の剣らしきものがあるが、状況整理が追いつかない。
(なんだこれーー)
目の前の男と目が合う。立ち上がり、左手に持っていた剣を右手に持ち替えて、周囲を見渡し、警戒する。
右手に持ち替えた時に、やけに手に馴染む感覚がある。周囲の人間と比較した時に、やけに自分が重装備である事も自覚した。
川岸からボコボコと得体のしれない何かが、現れようとしている。自分の後方から、あまりの恐怖心から怖気づいて、逃げ出す声が聞こえてきた。
剣を中途半端に構えたまま、川岸からどんどん大きくなるボコボコと盛り立つ泡を見ている。自分の前にいた男も恐怖心から逃げ出す。
川岸から得体のしれない何かが、飛び出して来た瞬間、眩い光が目の前に現れ、語りかける。
ヴォイス:パラミティア・ルール
戦わない者の名は 誰も覚えない
目の前に現れたモンスターを倒すしかない様だ。
生き抜く為にも、手にしている剣で、モンスターに切り込む。数撃入れて切り倒す事が出来た。
自分の剣と思しきものは、斬れ味はかなり良い様だ。戦い方はなんとなく身体に染み付いている。
2.特別な名前
空から球体状の光であるヴォイスが語りかけてくる。
ヴォイス:時にーー君たちの名は?
さあ 答えたまえ 君の名は?
額に手をあて、自分の記憶を思い出す。
(俺はーーレオンだ)
ヴォイス:ほう? その名を名乗るというのか?
覚えておくがいい 君の名前は 特別だ
この壊れゆく世界 パラミティアに
希望をもたらす英雄ーー“光の戦士”の名とされている
この世界は まだ 光の戦士を知らない
君と同じ名を持つ者が これから光の戦士になるーー
その様に予言されているのだ
ヴォイスのフッと不敵な笑い声が聞こえ、まだ語り続けるようだ。
ヴォイス:まったく まぎらわしい
すでに同じ名の者が 何人もいる
話が長いと感じた俺は両手を腰に当て、呆れつつも耳を傾ける。
ヴォイス:いったい 誰が本物やら
目の前に一筋の光が現れ、思わず右手で受け止め、握り締める。話を聞こうと、顔を上げる。
ヴォイス:しかし 残念ながら 今はまだ空白
空っぽーーそう 君たちのことは “ブランク”と呼ぼう
ヴォイスが発光し、眩い光が俺たちを照らす。反射的に、右手で光から目を守る。ヴォイスは4回発光しつつ、語り続ける。
ヴォイス:さあ ブランクたちよ 北へ!
そう言い残したヴォイスは、光る球体状の姿を消した。
レオン:北には何がある
周りのブランク達は、なんとなく歩を進めている。
突然、鎧の男が話し掛けてくる。
鎧の重装備は自分以外にもいる事を、把握出来た。
????:従ったほうがいい
物言いは 無礼極まりないが
ヴォイスは九割方 役立つことしか言わない
レオン:残りの一割は?
????:くそみたいな たわごとだ
レオン:なんだよ それ……
理由がわからないと思いつつも、北へ向かう事にする。
歩きながら、考えを整理するとしよう。
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あらすじより
1.めざめ
見知らぬ世界パラミティアでレオンは目覚めた。なぜここにいるのか、自分が誰なのか
なんの記憶もない。
だが、敵は容赦なく襲いかかってくる。
手にした剣で、戦うしかない。
それが、この世界のルールだという。
2.特別な名前
闇の中からパラミティアに流れ着いた若者たちは、全員記憶を失っていた。
ヴォイスは彼らを「ブランク」と呼ぶ。
パラミティアに伝わる予言によると
「レオン」という名のブランクが、世界に希望をもたらす英雄光の戦士になるという。
ヴォイスに従い、ブランクたちは闇を進む。
その中には、他のブランクとは異質な鎧をまとった男がいた。